福島原発 と 日本の現状
2011/03/18(金)渡部英宣

現在の日本のおかれている状況は、いい加減ではありません。
今回の原発事故はスリーマイル島より大事故で、チェルノブイリの事故であるレベル7に近ずきつつあります。

福島第一原発の設計思想がそもそも、マグニチュード7.5以上を想定していなかった事が問題で、津波も5~7メートルしか考えていなかった。電源が全てNGとなる事態の想定をしていなかった等、全てが想定外であった訳です。原発の信頼性は最初から無く、対応策も稚拙であった訳です。

・一方、現場の運用担当者達はマニュアルどおりにしか動けない。想定外のことには対処しようがない。
・設計者は既にいないので、誰にも相談出来ない。
・東電本社との通信線も、回線修復作業のミスで切断されてしまっていた。
等、様々な事態が輻輳していた。
(余談ですが、当方は過去、福島原発や青森の六ヶ所村の原燃の核処理施設の見学や経営陣からの説明を聞いたことがあり、その時の危機管理の稚拙さから、原子力政策には反対する様になり、佐賀県のプルサーマル計画には反対を表明し、皆様にも署名活動への参加をお願いした事があります。図らずも今回はその危惧が当たってしまいました。当時の危機管理はテロ対策がメインで、機器の信頼性や、事故対応等、装置そのものへの配慮、品質信頼性に付いてはかなりおざなりの様に感じられました。)

今回の事例では、本来は、当初よりレベル7を想定して、政府内に総合対策本部を置き、全体的視野で、地震関連、原発災害関連、避難対策関連、物資輸送関連、電気関連、医療関連等々が総合的に検討されていれば良かったのですが政府関係者も危機管理が出来ておらず、初動対策から、後手後手であった訳です。

現在は緊急事態であることを前提に節電計画が短期を想定して組まれていますが、福島原発の4基が廃炉となると推定される為、節電を長期間強いられることになります。大前さんも書かれている様に、もう日本では原子力発電は受け入れられないでしょう。佐賀県のプルサーマル計画も白紙にもどされるかも。その為、長期にわたり電力不足となります。(太陽光発電が再度見直され、大幅な需要増となると思われます。)この為、都内、近県の鉄道の輸送計画も一時的なものではなく、長期の大きなしわ寄せが出ることになります。サラリーマンはその内耐えられなくなる位。

又、現在避難している人達も、自宅に戻れない事態が長期化されることが予想されます。
死者・行方不明者15000人、9000人以上が孤立し救援を待っている。倒壊した建物約10万戸。停電が37万戸、断水が続いているのが100万所帯。避難者が地震と原発災害で合計百万人レベルと言う規模は、世界でも経験が無いことです。
しかもそれらの人達は、日本経済の中の生産に戻る事が直ぐには出来ません。
住居も無い為、生活基盤が確保出来ず、単に救援物資を待つだけです。
被災地では現在の生活にも支障を来たし、生活環境の悪化から避難した人達の中でも高齢者等合計21人の死亡者が出ているとのこと。

しかも日本経済を支えていた大手企業の支社、下請け等も多く、それらの会社が、工場停止状態、営業所は崩壊、業務ストップ となれば、親会社を始め、日本経済に与える影響は深刻です。
物の生産は出来ない。物資の輸送も出来ない。ガソリン、石油等の供給がされない。
この様な事を動物的感覚で察知して、多くの人達が買いだめに走っているのではないかと思われます。しかもそれが長期化されそう。

この様な状況は嘗て日本が経験した事がなく、国民全員が節電し、不便を甘受し、生活様式を一昔、二昔に戻し、長期間耐え忍ばなくてはならないことになります。
しかし、高層建築の多い都会は電気が無ければエレベーターは止まる為、生活出来なくなる恐れがあります。トイレ等も電気が無ければ大方使えないでしょう。株は暴落、経済に与える影響は計り知れません。


この様な事から、本来はボランティアはしたいものの、ぎっくり腰等で無理な事は出来ず、現状では返って足手間といとなるので、当方個人としては、被災地への救援、支援がまず最大の課題と考えます。又、個人として出来ることを地道にやって行くことしかないと思っています。
皆様も夫々ご事情があろうと思いますので、どうすべき等はいえません。個人で判断すべき事柄であろうかと思います。


話は変りますが、この数日、佐倉では余震が酷いです。昨日は震度4クラスが4回~5回。細かいのは数知れず。感じとしては確実に震源地は南下している気がします。逆「く」の字型の本州の上半分が東にズレ、長屋の上半分のつっかい棒がはずれてしまい倒壊。下半分は残りのつっかい棒で保っている様な感じで、そのつっかい棒がいつ外れても、つまり、関東・東南海地震が何時来ても可笑しくない状況の様な気がします。
北陸全体が東にかなりずれ込み、地盤沈下70cm以上で湖化してるところもあり、小松左京の小説「日本沈没」が本当になりそうな感じです。
今、関東・東南海地震が発生したら、本当に日本沈没が、、、其処まで行かなくても経済で、日本沈没が有り得ます。

この様な大地震があれば、、、もう考えたくありません。
余震が新たな地震の前震にならない様に祈るだけです。
皆様も、余震等で怪我などしませぬよう、火災に御気を付け下さい。
   
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