三陸の津波の実況で、家や車が押し流されているのを見て、自然の物凄い破壊力に改めて驚き。。。
それにしても、被害が大き過ぎます。あれだけの地震ですから、道路や、家屋の倒壊は、ある面では判りますが、津波からの被害が大き過ぎます。地震発生とほぼ同時に、津波の警報が出て、地域毎に10mとか6mとかの情報が出ているのに、あまり生かされなかった様に思えます。
10mの津波と言えば5階以上の場所に逃げなければ(1階当り2.4mとすると10mなら、4階迄は水につかる。その為最低5階以上となります。)そして安全係数を通常3倍とすれば、海面より考えれば15階以上。つまり相当な高台か、海岸より相当程度遠方へ避難するのが常識。その常識が理解されていなかった。又その様な生きた情報が、現場の人達に伝達されなかった事が問題であったと思われます。
地震発生直後から実際の津波の到来迄約20~30分はあったのに、対応が遅れ過ぎています。
思うに、10mとかの情報だけがながされ、具体的にどうしなければならないかの情報が足りなかった。
又、電波は飛び交っていても、停電の中、殆ど情報の伝達がされていなかったと思われます。
実際の混乱の中、どう言う風に対応すべきかが、日頃の教育の中に入っていなかったのでは?と思われるのです。
つまり最悪の場合、情報・指示が無くても、地震の大きさで自ら判断し、高台に逃れると言う動物的本能の発揮が出来ていなかった。知識・情報が対応策にまで生かされなかったと言うことです。(津波を見ようとか、カメラで撮ろうとする人達もいて、津波に巻き込まれた等も有ったとの事。)
又、M8.8の地震で、原子力発電所が想定外の被害を受け・・・・等の情報が出ていますが、想定外と言う言葉に大きな憤りを感じます。
本件を簡単に説明すると、地震により、燃料棒を冷却する為の水を供給するパイプが落下物で破損され、水が供給出来ず、不足した為に、通常は36℃である筈の水が100℃以上となり、燃料棒が冷却水の上に露出してしまい、結果として、燃料棒が溶解し始め、放射能漏れが出ているらしい。(この放射能漏れは、燃料棒溶融により、炉心が2800度位になり、更に拡大する可能性もある。)この為、半径10Km以内の人の避難が始まっているとのことなのです。(多分被害は拡大し、放射能漏れは物凄く多くなると推測されます。)
しかし、地震国日本で、M8.8の地震が起きることが想定外、落下物でパイプが破損することが想定外と平気で言える関係者達に、大きな怒りを感じるのです。(宮城県沖では、M7.5を想定していて、今回のM8.8はその約90倍で、それが想定外との事であるらしい。)
だが、M8.8は04年12月のスマトラ沖地震でも、10年2月のチリ地震でも起きているし、日本でもM8.0以上、M8.4クラスの地震が三陸沖を含めあちこちで発生しています。原子力関連施設の建設を考える時、それらを考慮せず、M7.5を想定して、M8.8を想定外としていることが先ず可笑しいと思うのです。
それから、生命にそれ程関係ない家庭用電気製品でさえ、安全係数は3.0、つまり必要な数値の3倍以上の設計値を用いており、危険な部位は安全係数は10倍等高く取っています。業務用製品なら、設計中心を通常の10倍クラスを考えており、更に安全係数を考えます。原子力など、国民の生命や健康、安全性に直接重大な影響を及ぼす物であるなら、その10倍クラス、つまり合計約100倍の安全性を考えなければならない筈。又、上記の様に地震も巨大なものを想定すれば、原子力関連ではその10倍の合計1000倍以上を考えなければならないと思うのです。(この1000倍はlog(対数)で考えればたった3倍(10の3乗)なので、エンジニアリング的には大き過ぎず、普通のことです。)
つまり家庭用と比較して耐久・耐温・耐振等等の性能の1000倍の強さを持った製品(Log的には3倍)としていれば、M8.8程度の地震で想定外等の言葉が出る筈がない。それなりの安全係数を考慮して、どんな災害が発生しても大丈夫な様に設計・建設・運用するのが君達の仕事だろうと思うのです。(勿論、予算もあり、コスト計算との関係で相当程度安価に造ったのでしょうが、結論的に言うなら、)彼等がきちんとした仕事をしていなかったと言うことなのです。(運用者と設計・建設者が異なると言うのは判りますが、)関係者・責任者としての発言としては、あまりにもお粗末な話しです。
実は過去、福井原発や、青森の六ヶ所村の原発燃料貯蔵施設等も見学して、社長、所長達と話しをした事があったのですが、あまりにも危機管理がおざなりであったことにびっくりしたことがあります。(安全性や信頼性の話しをした時、素人の話のレベルしか返って来なかった。殆ど実際の数値を知らない等、納得できる対応ではなかった。外部には安全性を言うがその実態は本当にお粗末と思われたのです。)この為、その後、私は原子力政策やプルサーマル事業の安全性は殆ど信用していません。故に殆どの場合、積極的に反対しています。原子力発電等の重要さは良く理解しておりますが、、、、)
と言う訳で、今回の地震で物凄い被害が出ている情報を見聞きするに付け、
1) 政府・自治体の危機管理体制、特にその様な時の対処方法への教育に、大きな問題があったと考えます。簡単に言えば、停電等で情報が伝わらなくても、地震の強さで津波を想定して、自発的に逃げることへの動物的本能を発揮させられなかったと言う、教育の不備を感じるのです。
2) 又会社や自治体等、上に立つ人達への安全への考え方、安全教育を十分に盛り込んだ研究開発体制や、住民への対応策が必要で、それが出来ていない社会体制の問題を感じます。
(シックスシグマ等、信頼性や品質を専門にして来た者の思いです。)
昨日から余震は数十回。枕もとの携帯は緊急警報が10回位鳴りました。(AUが自動発信)今だに、余震が続いています。
これから、被害の詳細がわかれば、更に酷い状態だと知らされることでしょう。
政府に対し、夫々の責任者に想定外等と言う言葉を勝手に使わせず、深い反省を促す必要を感じます。
又、批判と同時に、我々が今後何を出来るか考えなくてはなりません。そして、被災者の少しでも少ないこと、早期復旧の出来る事を祈らずにはいられません。