「これで良いのか「大飯原発再稼働」
菅前総理元政策秘書、松田光世氏の緊急会見に寄せて

渡部英宣


原発再稼働のニュース、本当に困ったものです。
基本的には、脱原発に向かうべきと思っていますし、その為の我慢はいくらでもする積りです。 (個人的には江戸時代に戻る位の覚悟で安全性を優先すべきと思っています。)
しかし、電力不足から企業が海外シフトへ走り、国内の空洞化が進むという説は、モノづくりで生きて来た我々にとり、抗しがたい問題でもあります。
空洞化による雇用の確保問題と1000兆円を超える借金により、ギリシャやスペインの2の舞になる可能性が無いとは言えないのが難しいところ。このことだけが脱原発の弱みなのです。

再稼働の前提である安全性に付いて、保安院や原子力委員会、マスコミの論調は、推進派の言うことを追認しているだけで、純技術的観点からは、多分におかしなところが多く、問題です。物の品質は、その設計思想や部品や製品の製造品質、経年変化等に大きく左右されますが、当初から予定した年月の信頼性の維持だけでも大変難しいのが現実です。
一般家庭用製品はどんなに頑張っても、10年が限度。しかも、かなり信頼性が高いものでも、5~6年で一度故障があり、修理に出されることがあることを前提にした設計がなされていますし、それは皆さんが日常的に経験する事ではないでしょうか。
(自然エネルギーとして注目されている太陽光発電の設備投資も、14~5年で回収出来、後は利益となると言われながら、実際の耐用年数が10年位と言うネックにより、普及の足枷となっている位です。)

それより高い信頼性を求められる、航空機や軍用機器等では一桁以上信頼性の高い部品が使われていますが、耐用年数は伸びず(生命に関係する等から、判断基準が高い為、耐用年数は逆に低いのが現実です。)品質劣化が進む、高温、高湿、高圧、放射性元素等による劣化の進み等を勘案すると、本当は40年でも危ないのが実際のところ。まして当初考えられていた設計条件や、使われている部品の耐用年数を上回って使われることは、技術者の視点、安全性の視点からは全く見過ごせません。

一方、原子力発電所等は一般の製品と異なり、高い信頼性で建設されていると思われていますが、現実には全く逆です。建設費削減の為、どんな季節労働者でも建設に携わって貰える様にと、低技能者、未経験者、アルバイトでも出来る様にと、マニュアル方式が取り入れられています。つまり、従来の日本の建築様式、技術の粋である、宮大工の様な技術者の必要性が殆どなくて済む様な世界なのです。マニュアルに従った建設が基本であり、しかもそのマニュアルすらも守られていないのが実情です。この為、品質信頼性の観点からは、非常に問題の多い設備であることが指摘されています。

これらの事から、いわゆる専門家の言う、40年以上の耐用年数があるとの結論は、本当の現場や実態を知らない学者バカの考えであるか、御用学者が悪い情報を隠ぺいしている結果であり、全く妥当性を欠いていると私には思えます。

最近出された311問題の東電による総括的検証は、地震と津波の規模の大きさを見通せなかった事は認めたものの、東電の対応は正しく、それを妨げた管前総理の不適切な現場介入を問題視した結論となっています。しかし、その様な結論を導き出したのが東電を取り巻く御用学者達の情報操作の一つであり、福島原発の実態を覆い隠しており、実際はさらにひどいものであったとという具体的証言が出て来ています。
菅総理元政策秘書であった、松田光世氏の緊急会見をご覧下さい。

緊急証言「核爆発」と「石棺化」菅前総理元政策秘書http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&NR=1&v=iZgWtq98cbI

緊急証言 菅総理元政策秘書が明かす官邸対応②http://www.youtube.com/watch?v=uR6ex9I7cOQ&feature=relmfu

東電やその周りの御用学者達の説明や、安全宣言と、これらの証言との乖離に愕然とされると思います。これを聞くと、検証とは、安全宣言とはいったい何か更に大きな疑問が出て来ます。こういう状況では、原発再開はあってはならないのではと思う次第。
安全が脅かされれば、放射能漏れがあれば、作ったものも全く売れなくなるのですから。
雇用の維持も大切だけど、だからこそ、徹底的に検証をし直し、間違った判断をしてはならない、安易に原発再開があってはならないと考える次第です。

世の中何が本当か、そう簡単ではないことをつくずく考えされられます。