高橋　謙夫さんご夫妻と私が初めてお目にかかったのは銀行クラブ食堂において、1981年7月28日（火）のことだった。４半世紀以上も前のことである。三室　孝之氏の紹介による。

その後も幾度か同所でお目にかかることがあった。私の次女がアルゼンチンに留学したいと言い出した時には随分相談に乗って頂いたものだ。令夫人のご家族がアルゼンチンに移民されていたからだが、結局、留学先は米国になった。さらに私が、今の西荻窪の住居に移る際にも何かと相談に乗って頂いた。従って御茶ノ水の事務所には屡伺ったものだ。今回ツアーの最中、寄って頂いた武石（先頃上田市に編入）の家内の母親の実家（空家）には以前は頻繁に行っていたが、ここ１０年程は足が遠のいていたし、行っても高橋邸へのご挨拶は電話で済ませていたのだが。

　そうした縁もあってか、高橋さんにはいつしかモラル会にご参加頂く様になった。浅草の焼肉屋「大同門」、綾瀬の「蟹将軍」での会合は高橋さんの差配によるものだ。秋葉原の「肉の万世」の本社ビルの建設プロセスについても例会でご説明頂いた。

　たんぽぽ堂の吉田　良三さんとは天木　賢一氏の紹介でフードサービス経営者の勉強会「１２人会」に入会させて頂いて以来の付き合い。２０年程まえのことである。太宗が経営者だった中でお互い数少ない非経営者だったせいか、親しくお付き合いさせて頂いた。吉田さんは最後はサントリーフードビジネススクールの校長を務められたが、スクール主催の催しには私も何回か足を運んだものだ。そんな吉田さんが上田市郊外に移住されたのはそれから暫くしてからのこと。
１０年近く前、吉田さんからテレ朝、土曜夕刻の番組「人生の楽園」に登場するとの手紙を貰ったので、即座に高橋さんに番組を観てくれるよう電話をし、さらに直接たんぽぽ堂を訪問するようお勧めした。その後の音信からご両家のお付き合いが始まったことが伺い知れた。この間、天木氏は何回かたんぽぽ堂を訪れていたが、このことを知ることはなかったようだ。三室さんも松本の金融関係の人と３、４年前たんぽぽ堂を訪れたことがあると、昨年話されていた。

　私が家内と二人で久々に武石村を訪れたのは４年前、高橋さんに電話して、初めてお宅を訪問した。その際、たんぽぽ堂にも案内して頂いた。吉田さんとは久しぶりの邂逅だった。その後、一旦高橋邸に戻ったところで大地震に遭遇した。新潟県中部沖地震だ。あの高橋邸での揺れは震度５以上だったと記憶する。小生の生涯で経験した最大規模のものだ。余震が断続的に続く中、途中まで高橋さんに送って貰い、武石村（当時）に戻ることが出来た。
高橋邸では随分と歓待されたが、とりわけ「胡桃おはぎ」にすっかり魅せられてしまった。図々しく翌朝も高橋邸を訪れ、その上で帰京の途についたものだ。なんというおこがましさ。

　松本ツアーは三室さんが、松本に赴任して以来、終始考えていたこと。当初、浅間温泉、穂高辺り（中房温泉、蓮華温泉）が候補地だったが、昨年秋頃は浅間温泉と松本郊外にある大学の宿泊施設を利用することで我々の間では話しが付いていた。が、昨年秋でこの話は中断してしまった。三室さんの健康上の問題が生じたからだ。　今年春、モラル会の会合の後、川口　顕さんとその話しに及んだことがある。彼のお兄さんが望月におられるとのことで一瞬、企画を進めかけたことがある。

　今回の企画が急進展したのは今年６月のモラル会、吉野　徹氏「栽培員制度」の話の放課後のこと。吉野氏のほか、丹、角、高橋の各氏は久々の邂逅ということで話しが盛り上がり、上田行が俎上にのぼって来たのである。実は最も気になったのが高橋さんの健康状態である。今次ツアーの最中ご本人も漏らされたので、あえて公表するが、氏は４、５年前癌に侵され、長期の入院生活を余儀なくされた。幸い手術は成功し、退院後の経過も良好を維持してきた。失礼ながら、夫人には電話でしばしば体調を伺ったものである。昨年正月、氏が改装の設計管理をされた現代女性文化研究所で開催させて頂いた新年会の折り、近況報告でさりげなく「生還出来ました」と話された時の私の嬉しさは如何ばかりだったか。それでもツアーの一件は当分先と踏んでいた。

　７月、８月のモラル会の後も皆さんの意向を伺ってきた。高橋さんも大いに乗り気になって頂いていた。それらを踏まえ、８月中旬、決行することを決め、このことを三室さんに伝えた。２泊３日のツアーはモラル会では初めて。何としてでも会長に参加して頂きたいと考え、条件付きで参加を承諾して頂いた。

初日のたんぽぽ堂は定員が８名ということもあり、すぐ定員に達した。２日目からは当初、佐藤　暁子さん、武石　喜志子さんがエントリーされたが、ペットを預ってもらえなくなったため不参加に。さらに会長も急遽不参加に。結局７名参加となったが、すでにＨＰに寄せられている様に実に充実した内容のツアーとなった。高橋さんご一家、たんぽぽ堂の吉田ご夫妻、鹿乃屋の斉藤さんご一家、三室さん、そして参加された皆さんのご協力によって快適な旅行とすることが出来た。皆さんへの感謝の気持ちで一杯である。

来年もこの様な企画を考えたい。近場でも結構面白いところがある。乞ご期待である。

幹事　渡部　修