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「普天間基地を私たちの周辺に移設しよう」

2009/12/14 鈴木俊彦

 普天間の移設がデッドロックに陥った感がある。首相が「県外移設」を言いながらその実現がなされないまま時が過ぎてゆく。
 日米の合意は覆せない、という人がいる。しかしオバマ自身がブッシュ政権の国際合意を覆しているから、それを案ずる必要はないだろう。

 メディアは首相を「三方美人」だと揶揄する。沖縄、社民党、アメリカの「三方」ということらしいが、沖縄と社民党の違いは見当たらない。つまり沖縄とアメリカとの両天秤ということだ。しかしことは簡単だ。首相は日本の首相であり、沖縄は現在日本である。

 私たちも日本人の一人として、日本の沖縄を考えてみたい。

沖縄が日本になったのは72年である。それまではアメリカの占領下にあったから、その米軍基地は如何ともし難いものだった。しかし今この地は我々の主権下にある。沖縄の米軍基地の責任は私たち自身にあるのだ。

 沖縄の米軍基地の根拠は「日米安保条約」にある。この条約の締結は60年で、沖縄の人の与り知らぬ条約である。私たちは私たちが負うべき安保の責任を、無関係の沖縄の人々に押し付けていることになる。現在、在日米軍基地の総面積の75%が沖縄にあるという。ちなみに沖縄は日本の国土の総面積の0.6%に過ぎない。

基地を押し付ける上で、私たちは沖縄から「経済的自立」の道をも奪ってきた。沖縄経済は基地、観光、公共事業の3Kしかないといわれている。辺野古の新基地建設はまさに「公共事業」として「意味」があった。しかし今や沖縄の総意は県外移設である。「公共事業」を当てにしない「自立」が模索されているのなら、その芽を摘んではならない。

 首相の「優柔不断」は、移設先の「県外」を決めかねていることにあるように思う。それなら私たちがお手伝いしようではないか。私たちが安保条約を必要とするなら、私たち自身でその責任を受け止めなくてはならないのは当然である。

 本来なら在日米軍基地の全てを、安保条約を締結した「本土」が担うべきだろう。嘉手納のケネス・ウィルズバック司令官は「全兵力を一つの基地に配置するのは、すべての卵を一つのバスケットに入れるのと同じだ。緊急事態の際に外敵が攻撃しやすくなり、任務の遂行は極めて難しくなる」と言って普天間の嘉手納統合に反対している。それなら在日米軍基地の3/4を沖縄というバスケットに入れていることも、戦略的に苦々しい事態であるに違いない。沖縄の基地の本土への全面的展開は歓迎されるはずだ。

 普天間基地の県外移設を契機に沖縄の基地が次々と本土に展開していけば、全国民が平等に安保条約に正対しその責任を担うことになる。そして、安保条約のあり方がより真剣に議論されることになるだろう。来年は安保締結50周年である。

責任を沖縄に押し付けての安保は、それはもうインチキというしかない。私は私の住む千葉の友人や知人に、「普天間の自衛隊下総基地への移設」を提案している。

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