HOME

「麹町〜芝「ガザに連帯…」」
2009.1.10  鈴木俊彦


好天だが風は冷たく強かった。ガザの子供たちも寒いだろうなと、妙な「連帯感」に浸っていた。13時半、予定通り麹町駅近くのイスラエル大使館前で抗議集会が開始された。

この日私達は、ガザの民と真に連帯しようとしていた。集会は妙法寺のI上人による犠牲者への追悼で始まった。「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……」ユダヤ教徒が殺害したイスラム教徒を法華経で供養する、こうした日本的宗教風景が私は好きだ。

集会は私達「9条改憲阻止の会」が主催した。抗議文を手にしたN氏が憲法9条の条文を読み上げる。そう言えば「9条を世界へ」という主張もあった。しかし考えてみるとこれは随分贅沢な条文だ。パレスチナの民には「高根の花」の条文だろう。

イスラエルはハマスを侵攻の理由に挙げている。しかしそのハマスはイスラエル自身が作り出したものだ。先住者を暴力で支配し、その生活と文化を破壊して新しい国を作る−この過程がハマスを生んだ。この「建国」は「アメリカ建国」に酷似している。アメリカがイスラエル批判に腰が引ける一因かもしれない。しかし我々も大きな顔はできない。かつての「満州国建国」も、また明治以降の「北海道開拓」も質的に同じだ。

「かつてあなた達にナチスがしたことを、今あなた達がしている!!F氏がマイクを握っていた。大使館は卑怯?なことに、通りから50メートルほどの私道の奥にある。だから私達は彼等の顔を見ることができなかった。しかしイスラエルのことだ、どこかで監視カメラが回っているに違いない…などと考えながら私は寒さに耐えていた。

集会の後、ドトールのコーヒーで暖をとった私達は芝公園へと向かった。芝ではピースボートなどが主催する、イスラエルへの抗議の集会とデモが予定されていた。

15時半に「約800名の参加を得ました」との司会者の言葉で集会が始まった。NHKのニュースでは参加者は1500名だったとか、後でN氏がメールで教えてくれた。

確かに参加者が途中から増えていて、欧米人も目立った。私は胸に段ボールをぶら下げていた。そこには白地に赤で「HALT!」と書いてある。「何という意味?」と聞かれ「やめろっ、てんだよ」と偉そうに言ったものの、メールでI氏から教わったたばかりの言葉である。ヨーロッパのデモでは常套句で、フランス語やドイツ語にも通ずるそうだ。私は欧米からとみられる参加者の前では、これ見よがしに胸を張った。

デモは麻布を経て六本木へと約2時間、あまり通行人のいないコースだった。若い人達が楽器を打ち鳴らす賑やかなデモの中で、私達だけが「老人集団」だった。

それにしても、世界はパレスチナをどうするのだろう。「棄民政策」が生んだイスラエル。そのイスラエルが棄てようとするパレスチナの民。一体誰が責任を負うのだろう。

 夕刊では木村太郎氏が、ガザをエジプトが、ヨルダン川西岸をヨルダンが統治するという案を紹介していた。パレスチナの民は、独立を失って「憲法9条」だけを手にするのだろうか、ネイティヴアメリカンのように。それは道理に合わない話だ。

渡部英宣様
ご案内ありがとうございました。酒井先生のお話は聞きたかったのですが、
今朝は早起きができませんでした。申し訳ありません。昨夜は、例のイスラエル大使館前の集会等の「私的レポート」をまとめていました。ご参考までに、いつもの厚顔でその拙文を添付します。
鈴木俊彦

HOME TOP
Copyright (c) Moralkai all right reserved.