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「ガザ関係の情報に付いて、私見」
2009.1.17  渡部英宣

鈴木俊彦氏より、ガザ関係の情報が投稿された。
現地の様々な情報が届き、現状が正しく理解される事は非常に重要であると思うので、そのまま掲載させて頂いた。これをどう取るか、どう対応するかは各位で判断し、各位の責任で行動に移して頂ければと思う。


これは戦争である。戦争は惨いし、私は戦争に反対である。この為、即時停戦が望ましい。
しかし、現状での惨さだけで、どちらが良いか、悪いかは判断出来ない。

ユダヤ人の国、イスラエルとしては、数の上では数百万人が虐殺されたホロコーストを考えれば何でも正当化されよう。国家を守る、自分達の民族を守るとの強い信念を考えると、現在の{1月14日時点での数字である、死者パレスチナ人760人、イスラエル人13人、負傷者パレスチナ人3100人、イスラエル人62人だそうです。} はものの数としては、検討の対象すらならないであろう。それは単に、戦闘の上手さ、下手さの結果であり、又、民間人を盾にした戦法の結果である。民間人を盾にした戦法を許した民間人の責任で、自分達イスラエルの責任では無いと言うであろう。

戦争となり、不利な形勢となれば、どうしても、戦場を民間人の地域に持ち込み、民間人に隠れながら行なうことになるのである。これは一種のゲリラ戦法で、どちらが良い悪いも無い。戦争が悪いだけである。

日本本土が空襲された時の過去の戦争体験を考えれば良い。民間人は戦おうとしなかったか?戦おうとしたのである。
戦争そのものに反対して、非国民扱いをされても耐えていた人達以外は全員戦っていたのではないか。直接戦闘員ではなくても、軍需産業に組み込まれ、戦闘に使う為の各種機材を作ったり、後方支援の各種戦いをやっていたのである。そして隣組の組織の中で竹やりで備え、信長、秀吉の戦国時代さながらの肉兵戦をも考えた戦闘に備えて行ったのである。軍から、直接戦闘員として組み入れられていたかどうかは別にしても、国を挙げて戦闘を支えていたのである。

ガザはどうであるか、正確には判らないが、民主的に選ばれたというガザの政権を維持させる為にある種の上記の様な活動が無かったとは言えないだろう。そしてその様な市民にまぎれての戦闘行為があちこちであったことは想像に難くない。ロケット砲弾が市民の生活の場から発射され、何時までも続いているのを許しているのがその証拠である。

或いは意図的にその様な場所からロケットを発射させ、その場所を叩かせ、その結果、国連等の関係施設をも爆破させ、諸外国の非難を起こさせようとの深い戦術であったのかも知れない。

手製のロケット砲が殆どであり、精度も低い為、戦果である死傷者の数は少ないが、目指すものはイスラエルと変わらない。故に、戦闘結果での民間人の多さや死傷者の数の比較をしても、その正当性を云々する事にはならないと思われる。

故に、私は戦争そのものを非難し、即時停戦を求めはするが、死傷者の数だけから、片方を非難するのは正しいとは言えないと思っている。死ぬ個人は数ではなく、その人個人である。
一人でも悪いものは悪いのである。外交手段で解決せずに、武力侵攻すれば、そして負ければその様な結果となることは目に見えているのである。にもかかわらず、第一次中東戦争は開始された。現在はそれからの延長戦にあるに過ぎない。イスラエルとしては今回を最後の戦いと決め、徹底的に武力で解決をしようとしていると考えられる。ハマスの戦闘員全員を封じ込める為の戦いである。それは、やるからには相当以前より準備し、容易周到にやって来たのであろう。それを言って、又非難しても始まらない。イスラエル軍当局としては、それは当たり前である。であるから、それはそう簡単に納まるとは思えない。
直接戦闘に携わっていない民間人の死傷者が出ても、数百万人の自国民の虐殺の悲劇を考えれば正当化されると判断して実行しているのである。


では、我々遠方にいる他国の一般市民のすべき事は何なのか。
やはり即時停戦を働きかけることであろうが、それはイスラエルが悪いと言うことではない。歴史の中での中東全体を考え、国連がイスラエル建国を認めたことを踏まえ、その実現にとり全体が上手く機能する様に、調整する様、働きかける事ではなかろうか。

そのためにはイスラエル殲滅を旗印にしているハマスに対し、イスラエルを承認させ、和平への道筋を決めることである。市民がその道筋を認め、承認しなくてはガザの解体、徹底的攻撃、完全制圧されても文句は言えないと言う事を判らせることが必要であろう。(これはイスラエルが全て正しいと言っているのではない。そうではなく、国連を含め、我々が正しいと思う道筋を双方に認めさせると言う意味である。)イスラエルは、少なくとも最初は、国連の定めた事を実行しようとして来ただけである。しかし、それが出来ていない現実の姿から、是からの自国の安全保障を考えると自分達での軍事的手段しか方法は無いと思っているから、この様な結果となっていると考えられるからである。


鈴木氏の示されている現地情報の最後に、

「ハマスのロケット攻撃が原因だ、ハマスの攻撃を止めないでイスラエルを非難するのは無知で感情的だ、と訳知り顔で教えてくれる人もいます。
わたしは、そうして安楽椅子に座って批評している人に、静かに言いたい。この「紛争」の一義的な責任者は、国際法上も、道義上もイスラエルに他ならない、と・」  と言う件があります。

私は調度その様な「安楽椅子に座って批評している人」に分類される為、少々座り心地が悪い。又、その様な人の意見と同じに見えるかも知れないが、上記の彼の様にイスラエルの責任とは思っていない。やはり双方の責任であるが、第1次中東戦争以降で考えると責任は周辺5カ国の侵略者やその係累であるハマス側にあると思う。故にこの酷い惨状にも関わらず、イスラエルが悪いとは言えないのである。

過日、大西 俊明氏が「キブツからの 帰国報告」をして下さったが、全くの荒野を緑に変えているイスラエルのキブツに大きな衝撃を覚えた。その苦労は物凄いほど判る。もしかしたら、それと同じ様な苦労を周辺の人々もして来ているのかもしれない。故に、イスラエルに追い出された人々の怨念は判る。しかし、それ以降のイスラエルの人々の自国の建設の60年の歴史も又大変なものであろう。

イスラエルの建国を決めたのは国連を始めとする各国である。各国は結果に付いても責任を負わなければならない。しかし、その努力を踏みにじっているのも又周辺の国々であり、ガザのハマス側である。この様な歴史を考えると、やはり、悪いのは戦争であり、それを継続している指導者である。それを許している民衆である。と言わざるを得ないのである。

小生の考えは過激過ぎるであろうか?

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